予算案年度内成立――野党議員は直ちに倒閣運動を起こせ


 平成21年度予算案が衆院を通過し、年度内成立が確定した。これについては、今のメディアのていたらくを思うと、衆院での予算案審議を延ばしていたらメディアが一斉に野党(特に民主党)バッシングを行なったであろうことが容易に想像できる。最近では旧来の御用新聞(読売と産経)に加えてNHKまでもがほとんど御用報道機関となりつつあるかのごとくであり(「クローズアップ現代」は異なるが)、ああいうものを無批判に見ていたら野党が悪いという考えに誘導されてしまうだろう。


 言うまでもなく、いやしくも予算を審議するのは、審議対象が変更可能であるからである。変更可能でないのなら、そもそも審議などする意味はなく、国会は存在理由がないことになる。かくて、国会が存在する意味があるのなら、審議に付される予算は変更可能でなければならない。


 ところが、今の政府・与党は予算案をびた一文変更しないという態度で凝り固まっている。これこそが問題であり、批判されるべきなのだが、しかし大変残念ながら、今のメディアは、この点を批判するというような見識を全く欠いている。したがって、予算案審議が長引いた場合にどういう報道が行なわれるかは、明々白々である。その明白な状況を民主党が回避しようとしたのは、積極的に賛成できるわけではないが、充分に理解できる。


 ともあれ、良くも悪くも予算が4月1日から執行される条件は整ったわけである。これに対して麻生政権は、補正予算を審議することによって政権の延命を図ろうとしているらしいが、とんでもない。世論調査での支持率を見ろ、支持率を、である。これだけ国民から嫌われている政権が、今さら何をやっても無駄である。政権の延命を図るなどとんでもないことである。政権を続けたければ、直ちに衆議院を解散して国民の信を問うべきである。なお、言うまでもないが、仮に麻生首相が辞任したとしても、今の与党が次の首相を立てて解散せずにさらに政治を続けるなどということは、もちろん断じて許されない話である。いったい何人の首相が選挙なしに登場しているのかと考えたなら、このことは自明だろう。


 そして野党議員に言いたい。とにかくありとあらゆる方法を使って、今や倒閣運動を起こすべき時なのではないか。民主党然り、共産党然り、社民党然り、国民新党然り、新党日本然りである。こういう時に野党の中でいがみ合いをする暇があったなら、倒閣のために何をしたら良いかを考えろと言いたい。既に、及ばずながら本ブログでも1、2提案めいたことを過去記事で書いたが、他にもいろいろやり方はあるだろう。例えば野党幹部が週末に揃って各地で政権打倒を訴える演説会を行なうとか、或いは(これは二木啓孝氏が書いていることだが)「民主党衆院議員全員が議員辞職届をまとめ、議長に提出すればいい」という考えもある。


 政局より政策だって? 麻生政権が9月に発足して以来、いったいどれほどの政策が政府によって出されてきたかを考えてみればよい。各所で言われているように、麻生政権の存在こそが政治空白である。だから倒閣だと言っているのである。